ノウハウ
長年の歴史と伝統を誇る京都絞美京は2016年、松岡輝一による
京鹿の子絞とは
「鹿の子絞」は絞り染めの一種で、総絞りにした模様が小鹿の背のまだらに似ていることからその名で呼ばれている。鹿の子絞の中でも京都で生産される絹の布に鹿の子を施したものは「京鹿の子絞」と呼ばれ、昭和51年には国から伝統工芸品に指定されている。京都の絞りは各工程に専門の職人が携わり、分業で作業が進められる。そのため、人の手わざの積み重ね、それぞれの人の力量が作品の出来の善し悪しを左右する。微妙なにじみ具合やちょっとした偶然の絡み合いによって、ふたつとして同じもののない作品ができるのが京鹿の子絞の特徴である。
京鹿の子絞に求められる技術
松岡輝一は京鹿の子絞の染色部門の伝統工芸士。異なる絞り技法と技術を考慮しながら、何度も繰り返して理想の色に近づくように染め上げをしている。染色前から染液の温度や防染状態を把握し、適切な色で生地全体を染め上げるための独特な色彩感覚や、にじみ・ぼかし具合を表現する技術も必要で、その日の天候や湿度等によって左右される色の変化を調整して安定させ、さらに微妙なニュアンスを表現する技術は、先代から受け継いだ職人技である。
KIZOMÉ デジタル3D 絞®
デジタル3D 絞®は京鹿の子絞伝統工芸士松岡輝一が開発した技法で、 デジタル3D 技術を用いて製作した道具(=型)を使用して京鹿の子絞 の染め分け技法の一つである「板締め絞り」をおこなう。型は 3D プリンターで作り、全ての工程は従来の板締め絞りと同様、 手作業で行い京鹿の子絞の伝統工芸士が一点一点手染めし染めあげる。 京鹿の子絞の「板締め絞」技法の道具に3D プリンターで作った型を用いた「デジタル 3D 絞」 技法による「ぼかし」が醸し出す手作りの味とと もに、凹凸がもたらす柔らかな風合いが楽しめる。